地方と都市部の違い
経済は、どれだけ情報化が進んだとしても「都市部」を中心に回っているものです。都市部ではさまざまな企業がひしめいているのですが、それらの企業がそれぞれの価値、それぞれの戦いを繰り返しながら経済が成立しています。
それでは、地方では「仕事」はないのかというと、決してそういうわけではありません。都市部においてもさまざまなビジネスが成立し、さまざまな人が働いています。ですが、都市部にそれと比べるとやはり規模が違ったり、中央の衛生的な位置づけであったりするものでしょう。私たちにとって「ビジネス」はやはり大都市圏を中心に繰り広げられているものであることは変わりません。
そんな都会には都会独特の空気があるものです。さまざまな人が同じ場所に存在しているということもあり、それは「統一された」というよりも「雑多」であると象徴することが正しい雰囲気です。「都会の人はこうだ」というようなものではなく、都市部という「場所」が象徴する空気感がそこにはあります。それに憧れて、また必要に駆られて地方から都市部に進出するような人は、その人たちがまた「都会」を構成するひとつの要素になるのです。そのようにして積み上げられるものが「都会」です。都会での暮らしは馴れた人にとっては「そのようなもの」であり、実感のない人にとっては「得体の知れない怖いもの」、あるいは「憧れの都会」というようなことになるのでしょう。
対して地方は地域によって独特の文化が明確に確立されているものです。その土地独特の風土、文化、人と人の関わりなどがあるもので、それらに馴染んだ人、何年もその習慣と共に生きている人がそこにいるものです。それらの人々はその土地を愛し、その土地に自分の核となる部分も左右されて成長してきたものなのです。そのような「その場所独特の文化」というものは、後から変えられるものではなく、その風土、文化自体がその土地であり、その土地に生きる人々のアイデンティティである場合がほとんどです。
もし都市部から地方に赴任するようなことになった場合は、それらの「文化」を自分のものとして吸収する必要もあるでしょう。「仕事」が人と人の関わりである以上、相手をする「人」が深く馴染んでいる風土や文化を理解するということはそのまま「人」を理解するということになります。「理解」すればするほど、人は人に対して親近感を感じるものです。親近感を抱くほどに理解しあえた相手とならば、仕事の波長も合うはずなのです。私たちにとって「仕事」と「人」は密接に関係していて、「人」が大切にしていることを否定したり、拒否したりすることはそのまま相手を拒絶することと同じというわけです。
赴任してまずとりかからなければいけないことは自分が関わる「人」がどういう相手なのかを知るということです。それが「地元」の風習や習慣を大切にしているということがわかったのであれば、それらの文化にまずは触れ、「だからこういう人柄、土地柄なのか」とまずは「理解」を示す必要があるのです。自分のことだけを考えるのではなく、相手がどういう人物か、どういうこと、どういうものを大切にしているのかということを考えることで、まずは相手と親しくなりましょう。