国外の単身赴任の場合

長いビジネス生活においては「海外」に赴任することもあるでしょう。海外に赴任する場合でも、国内の単身赴任となんら変わりはありません。ですが、そこにはひとつ重大な「壁」があるのです。

それは「言葉」の壁です。相手と話すための言葉が違うということがまずは問題です。言葉が違うということは、相手の思考回路自体が違うということになります。思考回路が違う相手とのコミュニケーションは、相手の思考をこちらの言葉に置き換えて理解する必要があります。まずはその相手の「言葉」を習得することが何よりも優先します。

昨今のビジネスに置いて、「外国語」が話せることは当たり前の要件になってきています。外国語、特に「英語」を用いたコミュニケーションがとれることはビジネスマンとして優先すべき要件のひとつなのです。それは海外とのやり取りが「増えた」という次元ではなく、海外とのコミュニケーションを中心にビジネスを展開する必要があるということでもあります。私たちの経済を成立させているのはほぼ海外との輸出入です。国内での消費、国内から国内へのビジネスももちろん大切なことではあるのですが、それだけでは現在の経済はまわりません。

そしてなによりもこれまで「発展途上国」という位置づけであった国々が独自の技術力、経済力を発達させてきています。それらの国々は自分たちの国が潤うためのビジネスを独自に発展させてきました。それによってそれまで圧倒的な位置づけであった「日本の技術」が世界の最先端ではなくなってしまったのです。さらに、豊かな日本よりもこれからのし上がることが前提の国々では「人件費」が大きく違います。彼らは安い資本で日本と同等の技術を秘めた製品を数多く世界の市場に投入しているのです。

こうなると、「日本だから」という甘えがまったく通用しなくなります。私たちに必要なのは「知恵」です。それらの国々を相手どって、どのような戦いができるのか、どのようにビジネスとして渡り合うのかがポイントになります。海外の安い製品を国内で売るにしても、日本のブランドをそれらの製品に付与してまた違う国売るのだとしても、そこには必ず「コミュニケーション」が必要であり、専門的な言葉もよどみなく交わせる言語力が必要です。

それを磨くための海外赴任が昨今増えているようです。現地で働くことによって、言語力と同時に現地とのコミュニケーションの橋渡しになってもらうというものです。それを昇進の条件にしている企業もあるほどです。私たちは英語が苦手です。英語が得意な一部の人材に頼って、これまでどうにかビジネスを成立させてきたのですが、これからは、それは通用しません。私たちに必要なのはひとりひとりが国際人として世界に通用する言語力を持つことです。それによって私たちは世界で通用するビジネス力を身につけることができるのです。

日本ならではの細やかなビジネス対応と、豊かな言語力、国際感覚が身につけば、私たちはきっと度の国にも負けない一流のビジネスパーソンになることができるのではないでしょうか。そのための経験を積む海外赴任であれば、それは喜んで受け入れるべきことなのです。その経験は、将来必ず役に立つものになるでしょう。

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