上司にわかってもらいたいことは日頃から伝える
私たちはさまざまな事情とともに生きています。勤めている企業が求めることであれば、出来れば自分の事情を差し置いても適えたいと思うのが組織人であり、現代の社会人の基本思想でしょう。
ですが、「仕事がすべて」、「仕事が命」というスタンスを貫くことは現代社会では難しく、さらに家庭や家族などがいる場合では「事情」を勘案しながら仕事を続けていく必要があります。誰もが自分の事情、自分の都合と会社から求められている要件を照らし合わせながら、ギリギリのラインをたどりながら働いているという人も多いはずです。そのような場合、「会社の都合にすべて合わせて行動せよ」ということは難しくなるのです。それでも現実は「仕事だから」という過酷な配置変えなどは発生します。
そのような「業務命令」を受けた後では、なかなか自分の事情や都合でその命令を覆すことは難しいものです。業務命令に反した場合は、組織の中で「背信的な人物」と目されてしまったり、「融通の効かないやつだ」というレッテルを貼られてしまったりするものです。それは組織人としてはマイナスイメージであり、その後の「評価」に反映されてしまうかもしれません。その「業務命令」さえなければ、そのようなことはなかったはずなのに、現実というものは「都合が付けられない人」に対して決まって過酷な要件を突きつけるものなのです。
一番良いのは、「その業務命令が自分に降り掛かってこないこと」です。その命令がなければ、自分の事情や都合と折り合いがつかないと悩む必要もないのです。その命令がなければ、マイナス評価を受けることもなかったわけです。そのようなことを考えると、実は日頃から自分の事情、都合、どうしても手が放せない様な現在の問題をできるかぎりさりげなく、職場や上司にアピールしておく必要があるのです。そうすることによって、事実的に「そのような業務命令を出されることは、退職勧告に等しい」という周囲と上司の「理解」を得ることができるのです。
「職場」はさまざまな「人間関係」でできていて、その核になるのは「人」です。そして私たちは毎日機械のように、プログラムのように淡々と何も感じずに仕事をしているわけではないのです。ですから、そのような「どうしようもない事情」ということに対する理解が進めば、そのような業務命令を避けてくれるかもしれないのです。「あいつは絶対に無理だから、違う人選にしよう」ということです。そのような「理解」を得ることができれば、無理な転勤の命令などを少しは回避できるはずなのです。
日頃から「自分はこういう人間で、こういう境遇だ」ということに理解を得ておくこと、さりげなく周知し、誰もが知っている状態になることで、私たちは自分の大切な環境を守りながら働くことができるかもしれません。もちろん、事務所が移転になるであるとか、事業所自体が閉鎖されてしまうというような状況では、そのような「個人の事情」などは勘案されません。そのときは仕事自体を「変える」勇気も必要になってくるでしょう。それまでは、今の環境を維持したまま働くことができるでしょう。
もちろん、自分の状況を変えるということも大切です。仕事を通じてどのようなキャリアを得るのかは自分自身しかわからないのです。