一時的な転勤なのか、それとも「転属」なのか
その転勤を単身赴任にするか家族ごと引っ越すものにするかどうかの基準のひとつとして、「いつまでその場所に勤務するのか」ということを考える必要があります。
永続的な転勤なのであれば、家族と離れる期間は相応のものになってしまう恐れがあります。ずっと家族と離れたまま暮らし続ける可能性があります。ですから会社の意向を聞いておく必要があるわけです。あくまでも「一時てきな転勤」であることが確認できれば、家族と離れて転勤することもできるのではないでしょうか。「いつか戻ることができる」と考えれば、一時的にその土地に赴く気にもなれるというものです。ただ、社会でいうところの「一時的」の時間のスケールを誤ってはいけません。それは1年から数年に及ぶ長い期間であるかもしれません。
単身赴任を選ぶ理由としてもっとも多いものは、「自宅を購入した」であるとか、「子どもの教育環境」にあります。そう簡単に自宅を手放すわけにはいきませんし、かといって住んでいない住居を維持したまま新天地で暮らすことも難しいものです。うまく行けば、「自宅」を人に貸して、賃貸収入でローンを返済しながら新天地で暮らすということも考えられます。そのような工夫がうまくいくのであれば、家族みんなで新天地に移るということは考えてもいいのではないでしょうか。ですが、そうではない場合は自分だけで移るということを中心に考えた方がいいでしょう。
会社に勤める以上、その事情に翻弄されるのは仕方のないことです。会社の意向に翻弄されながら自分の暮らしを創りあげるということは社会人としての「常識」であり、どうしても折り合いがつかないということであれば、勤め先を変えるしかないのです。その選択は自分の自由ではあるのですが、現在の収入でどうにか暮らしていて、貯蓄に余裕もないという状態なのであれば、簡単に仕事を変えるのは危険というものです。収入がなければ「生活」は破綻してしまいます。生活が破綻してしまうと、家族を養うどころか家族全員が路頭に迷うことになってしまうのです。
そのようなことを考えると、まずは会社の意向を汲み取って転勤できるようにするしかありません。まずは会社の意志を感じ取って転勤できる可能性を探るのです。そのためにも重要なのは「いつまでか」ということです。それは自分の上司としっかりと話し合った方がいいでしょう。一時的な出向なのであれば、自宅はそのまま、家族もそのままでいいのかもしれません。
社会の中で自立して生きているように思えても、このような瞬間に「会社に所属していること」に対する実感を持たざるを得ません。自分の足で、自分のチカラで生きていると自負していても、そのような時に「会社に生かされている」、「会社から仕事をもらっている」ということの実感が湧いてくるでしょう。会社に命じられればどのようなことでも実行しなければいけない厳しさというものを実感することができるのではないでしょうか。自分が生きていくためには会社の命令に従わなければいけない、逆らうと生活するだけのお金が稼げなくなってしまうという危機感と緊張感を改めて感じることができる瞬間でもあるのではないでしょうか。